ONLY YOU~愛さずにはいられない~Episode.0~
有次と淳之介は自室に引っ込んだ。

二人除いて、全員…俺を囲んだ。

俺のそばには香波が居る。
俺は彼女にすげぇカッコの悪い所を見られている。

「お前・・・浅見の友人に1000万借りたそうだな・・・何に使ったんだ?そんな大金」

俺は父さんに渡すだけ。
父さんが何に金を使ったなんて把握していない。
およそは飲み代、ギャンブル、借金もしていると言っていたし、その返済に充てたんだと思う。

「自己投資だよ。
俺は売れっ子。売れるには多少、自分にも金を掛けないと・・・」

「人の金を使って、自己投資って・・・聞いてて呆れるぞ・・・康秋」
信兄は冷淡に吐き捨てる。


一度は俺を捨てた父さん。
フラリと俺の前に現れ、涙を流して謝罪した。

俺はその涙と心機一転してまた芸能界に俳優として復帰したいと言った父さんの言葉を信じて…

今思えば、あれは父さんの演技だった。

俺を騙す為の・・・


「康秋貴方・・・私に何か隠してるでしょ?」

「別に…なにも・・・俺から浅見さんの友人には謝罪して、少しでも借りた金を返済できるよう努めるから・・・勘弁してくれないかな?信兄」


「・・・お前は俺の顔に泥を塗ったんだ!浅見の部屋から出ていけっ!」

「そのつもりだよ」

「お前は父親にそっくりだ。散々、母さんから金を奪って・・・挙句に借金残して、蒸発だ…どれだけ、あの後、母さんがお前の父親の為に苦労したか分かるか?」

「信吾、それは言わない約束でしょ?」

「母さんは黙ってて・・・」

「信吾・・・」

「兄貴、それ以上言えば・・・」

「どうせ俺はこの相良家とは何の所縁もねぇ人間だよ。
信兄の言いたいコトは分かった。俺は出ていく!!」

「康秋!!?」

俺は悠兄の制止を振り切って、部屋を出て行った。






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