ONLY YOU~愛さずにはいられない~Episode.0~
最初からここに俺の居場所なんてなかった。
でも、父さんに捨てられた時はまだ7歳で、誰かに頼らなければ生きていけない子供だった。

「僕はどうすればいいの?」

「ここに居れば、いいのよ。康秋。私は貴方のお母さんだもん。存分に甘えてね」

泣きながら言う俺に涼子さんはそう言って頭を撫でてくれた。

ーーーーあれから11年・・・

俺は相良家で育てられた。甘えろと言われたが、俺は甘え方を知らなかった。
涼子さんはまた別の人と再婚して、有次と淳之介が生まれた。
血の繋がりのない俺は一人取り残されて、この家には居られなくて、芸能界に戻ったんだ。


俺は部屋の鍵を開けて中に入って、クローゼットからたくさんモノが入りそうなスポーツバックを取り出した。

「康秋?」

涼子さんと香波は俺を止めに来た。


「ほら、信吾だって・・・感情的になっているだけだから…考えなおしなさい。康秋」

「俺のコトは放ってくれ!!あんたは香波の父さんと幸せになればいいじゃん」

「康…秋」

「香波お前だって出ていけっ!」

「康秋…君」

「二人とも出て行けよ!!」

俺は二人を追い出した。


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