ONLY YOU~愛さずにはいられない~Episode.0~
「本当に出ていくの?」

「・・・金は稼いでいる。独立はできるさ」

「わ、私たちはどうなるの?」

「・・・分かったコト訊くなよ。俺たちはもうおしまいだろ?香波の処女は欲しかったけど、仕方がない」

「康秋君・・・」


「お前だって…テレビで観る俺と現実の俺を見て、ギャップを感じていただろ?別にファン辞めていいよ・・・」

「そんな・・・」

「そこどけよっ!」

「嫌っ!行かせない…」

「・・・なんで?」

「何でって・・・私たち家族じゃない・・・」

「家族ね・・・人が死ぬ時は一人で死ぬ。
俺には家族なんて・・・居ない」

「何言ってんの?貴方だって一人で大きくなったワケじゃない。相良さんが大切に貴方を・・・」

「・・・分かった口訊くなよ!お前に何が分かるんだ?実の父に捨てられた俺のキモチが分かるのか?確かに俺は涼子さんの庇護がなければ、ここまで立派に育ってなかった・・・」

彼の瞳は溢れんばかりの涙で潤っていた。

涙腺が崩壊寸前だった。

「ゴメン・・・一人になりたいんだ・・・」

彼は私を押しのけて、階段を下りて行った。康秋君と私の間には大きな壁が見えた。

彼は私にも本当の自分を見せていないんだと分かった。




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