ひとひらの雪
「雪姫ちゃん…」
晴流だけではなく自分達のことまで真剣に考えていてくれた。そのことが嬉しくて、琥太郎の瞳にはじわりと涙が浮かぶ。
「オイオイ、琥太郎!男がんな簡単に泣くんじゃねぇよ。」
「だ、だってぇ…っ」
「あらあら。」
いつの間にか片付けを終えた琥太郎の両親も集まり、場の雰囲気は和やかなものへと変わる。雪姫もつられて笑っていた。
──やっぱりこんな幸せそうな顔、壊したくないなぁ。
犯人が晴流を恨む理由など分からない。けれどどんな訳があれ、この心地良い関係を狂わせないでほしい。
笑顔の下に秘めた想いに、まだ見ぬ犯人は気づいてくれるだろうか。
「じゃあさ、琥太郎。明日の帰りそっちの高校寄っていい?灰原先生に児嶋先生の家聞こうよ。」
「うん、分かったぁ。あ、いつも通り迎えに行くからちゃんと待っててねぇ。」
「はいはいっ」
だが翌日、彼らは予想外のことを耳にする。