ひとひらの雪


「あの…っ、刑事さん!ちょっと聞いてほしいことがあるんです。」


『?何ですか。』


 再び気を引き締めた雪姫は鳩山に自身が調べたこと、気になったことを話した。


 かつて斗真と対立していた久遠蓮という少年が事件の起きた28日を境に失踪したらしいということ。晴流が通う高校の教師である児嶋が雪姫を見て動揺したこと。


 捜査を再開するにあたり少しでも情報の足しになればと思った。しかし鳩山は訝しげに聞き返す。


『それは…本当に自分で調べたんですか。』


「?はい。」


 鳩山は何を言っているのだろう。不思議に思い首を傾げると、受話器越しに呆れとも感嘆とも取れる溜め息が聞こえてきた。


『…あなたって人は、まさか自力で…よりにもよってその二人に行き着くなんて…』


「…えっ?」


──よりにもよって?その二人?


 まるで既に久遠と児嶋のことを知っていたかのような口振りだ。


「…二人共晴流とはあまり関係のない人なのに、警察は調べていたんですか?」


 初めから琥太郎達だけを疑っているものと思っていた。だからこそ雪姫は斗真サイドを調べたのだ。それに、何故児嶋の名まで出てきたのか。



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