ひとひらの雪
聞きたいことは山程あるけれど、今はただ寄り添っていたい。いつだって無条件に味方でいてくれた彼に、今度は自分が。
「じゃあまた明日。解散!」
話も終わり、一同片付けを始めた。早く終わらせようと雪姫も急いでボールを拾い集める。
と、その時だった。
「──ちょっとすみません!」
突如体育館内に木霊した声。その場に居た全員が入口を振り返る。その視線の先を辿り、雪姫は驚いた。
「えっ…刑事さん!?」
そう、そこに居たのは見知った刑事達。鳩山と鷺沼だったのだ。
雪姫が思わず口にした"刑事"という言葉に一同騒然となる。何故警察が夏休みの高校などに来たのか。何故いち部員が警察と顔見知りなのか。説明を求める声も少なくない。
しかし刑事達の慌てた様子に只ならぬものを感じた雪姫はまっすぐ彼らの元に駆け寄った。
「どうかしたんですか…っ!?」
「雪姫さん…」
ほんの僅かな間がとてつもなく長く感じられる。そして次の瞬間、雪姫は耳を疑った。
「お兄さんが──病院からいなくなりました…」