ひとひらの雪


「いったい何が…」


 鳩山は雪姫が床に落としていったノートを拾い上げ、例のページを見つけ目を通した。


それは──雪姫へと向けられた、晴流の書き置きだった。















──雪姫へ


 突然居なくなって、ごめん。心配掛けたよな。警察に付いてこられる訳にはいかなくて、こんな方法しか取れなかったんだ。本当に、ごめん。


 警察沙汰になってしまった以上、真実は強制的に暴かれる。だからその前に俺を刺した相手に会っておきたいんだ。会って、それから今後どうするかを決める。


 こんなことお前は反対すると思うけど。譲れないんだ。俺の罪が引き起こした事件だから。俺が終わりにしなければいけないと思うから。


 だから、雪姫。少しの間さよならだ。


 絶対に帰ってくる。それまで信じて待っていてほしい。本当に勝手で、ごめんな。


──晴流より















「…天城くん。君は…」


──いったいどれだけの秘密を抱えている。


 動機が見つからず、犯人の影すら掴めない事件。この件には不明な点や違和感が多すぎる。


一年前彼らを狂わせた事象は本当に峰村斗真の死
..
だけだったのだろうか。



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