ひとひらの雪
1年前…二人が土砂に呑み込まれた時、生きた心地がしなかった。斗真が見つからないと聞いた時、身を引き裂かれる思いだった。
奈々の泣き腫らした瞳も、琥太郎の涙ももう見たくない。晴流もみんなも、自分が護ると決めたのだ。
──失ってからじゃ遅いの…っ!
そんな必死な姿に根負けしたのか、最初から雪姫を引き留めることなど不可能だと思っていたのか。鷺沼はやれやれといった感じで溜め息を吐き、小さく微笑んだ。
「…僕も付いてくよ。都市部と西沈を中心に警察が捜索してるから、捜すのなら南鞠か爽北だ。」
「…ありがとう。」
それからは皆総出で晴流の捜索に取り掛かった。街中を駆け巡り、人に尋ね、名を呼び続けながら。
しかし、見つからない。晴流の足取りは全くと言っていい程掴めず、時間ばかりが悪戯に過ぎていく。
──ねぇ、晴流。いったいどこに居るの…?
気がつけばもう辺りは一面の闇空。朝の9時から夕方5時近くまで部活動をしていた雪姫の体力は既に限界を迎えていた。