ひとひらの雪
琥太郎達の疑いを晴らす決定打となる証言をしてくれた目撃者。彼はそれを信用するなと言う。
証言の内容が嘘なのか。それとも人格に問題があるのか。目撃者がどんな人物なのかを知らない以上何とも言えないが、晴流が必死に伝えてきただけに無視は出来ない。
しかしこんな不確定な情報を口にしていいものだろうか。
晴流から連絡が来たというだけでも雪姫を困惑させてしまうだろうし、もし目撃者の証言が嘘だったなら琥太郎達3人は再び容疑者として扱われてしまう。
──みんながまた辛い想いするなんて、嫌だ。それだけは絶対に避けなきゃ…。
せめて目撃者がどんな人物なのかを知りたい。疑うのも、雪姫に話すのも、それからで遅くはないはずだ。
「──琥太郎っ。わたしここで聞いみるから、向かいのネットカフェ見てきてくれる?」
「うん、わかったぁ。」
今日は警察が爽北と南鞠を捜すというので、二人はまず都市部の繁華街にやってきた。隠れる場所ならいくらでもあるし、同年代への聞き込みの方が容易だからである。
雪姫がゲームセンターに入っていくのを確認し、琥太郎はある場所に電話を掛ようと財布からメモを取り出した。