ひとひらの雪
第五章 灰色の鎖


『おー、仲良し5人組。今日も元気だなー、おい。』


『鬼頭先生。その呼び方は止めて下さい。なんか恥ずかしくて…』


『…確かに。』


『えーっ、別にいいじゃんか!事実仲良いんだしっ』


 中学時代いつも一緒に行動していたオレ達に生活指導の鬼頭先生が付けた"仲良し5人組"という呼び名。


 雪姫と琥太郎はそれをやけに気に入り嬉しそうにハシャいでいたのだが、オレ達3人はとても気恥ずかしく思っていた。


 だが、不快かと聞かれれば意外とそうでもない。きっとどこか誇らしかったのだ。臆面もなく友達だと言い合えるこの関係が。


──けど、一つだけ勘違いをしていたんだな。


 5人を繋いでいたものは"友情"なんて生温いものじゃなく、同じ痛みを知る者同士の依存に似た感情だったのだということ。


 毎日が楽しくて、いつしか目を逸らしてしまっていたんだ。お互いの傷がどれだけ深く、取り返しがつかないものなのかを──。





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