ひとひらの雪




 深夜、みんな眠りについている時間。何か妙な違和感を感じ雪姫は目を覚ました。


「……何の音…?」


 違和感の正体は先程までは無かった音。あまりにも大きすぎて一瞬何だか分からなかったが、すぐに気づく。


──雨の音だ。


 今までに聞いたことがないような激しい雨。いつも眠りにつくと朝まで起きない雪姫が起きてしまうのだから、相当な勢いだ。テントを軋ませる程の轟音に耳が痛くなる。


 この雨はまずい。そう感じた雪姫は隣で眠る奈々を揺さぶる。


「奈々っ!起きて!」


「………?」


 疲れきって寝ていた奈々だったが、目を擦り起きあがるとすぐに現状を把握した。


「凄い雨…外は?」


 テント入口のファスナーを開けてみると、辺り一面の土はぬかるみ川が氾濫しているのが辛うじて見えた。


 昼間はあんなに穏やかだったのに。あまりに突然の悪天候に呆然としていると、ふいに眩しい光が差し込んだ。


「雪姫!奈々!大丈夫か!?」


「「斗真!」」


 光の正体は懐中電灯。思わず目を細めつつも、斗真と、その後に居る晴流と琥太郎の姿が確認出来た。



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