ひとひらの雪
◆
「寒…っ」
年が明けた。母は仕事に出掛けている為、一人きりの朝。空は白灰色で今にも雪が降り出しそうだ。
「暇だなぁ…」
昔からスポーツが大好きで、動かない日がなかった雪姫。こんな時はいつも五人で遊びに出掛けていたのだが、今はそれも出来ない。
病院の面会時間は午後。それまでは頑張ってランニングにでも行こうか。そう思い、立ち上がって窓の外を見た。
「………えっ!?」
思わず、窓を開け放って裸足で飛び出す。そこには予想外の人物が立っていたのだ。
「晴流…っ」
──退院は二月のはずじゃ…
ふと晴流が巻いているマフラーが琥太朗の物だと気づいた。もしかすると、退院が早まったのを二人で秘密にしていたのだろうか。
「…雪姫。」
驚きのあまり硬直していると、晴流の右手にそっと抱き寄せられた。そしてもう一方の手が優しく背中を叩く。ポン、ポン、と一定のリズムで。
雪姫が奈々にもやったそれは、昔から晴流がしていてくれだ泣いてもいいよ゙の合図。
「寒…っ」
年が明けた。母は仕事に出掛けている為、一人きりの朝。空は白灰色で今にも雪が降り出しそうだ。
「暇だなぁ…」
昔からスポーツが大好きで、動かない日がなかった雪姫。こんな時はいつも五人で遊びに出掛けていたのだが、今はそれも出来ない。
病院の面会時間は午後。それまでは頑張ってランニングにでも行こうか。そう思い、立ち上がって窓の外を見た。
「………えっ!?」
思わず、窓を開け放って裸足で飛び出す。そこには予想外の人物が立っていたのだ。
「晴流…っ」
──退院は二月のはずじゃ…
ふと晴流が巻いているマフラーが琥太朗の物だと気づいた。もしかすると、退院が早まったのを二人で秘密にしていたのだろうか。
「…雪姫。」
驚きのあまり硬直していると、晴流の右手にそっと抱き寄せられた。そしてもう一方の手が優しく背中を叩く。ポン、ポン、と一定のリズムで。
雪姫が奈々にもやったそれは、昔から晴流がしていてくれだ泣いてもいいよ゙の合図。