ひとひらの雪
「…晴流…?」
優しく微笑む、自分とそっくりな顔。
「…ただいま、雪姫。」
その時、頬に冷たいものが触れた。とうとう降り始めた真っ白な欠片。それに混じって、雪姫は子どものような大きな泣き声を上げた。
すがりついて、ただただ泣きじゃくる。いち早く立ち直っていたように見えたのはただのやせ我慢で、本当はずっとこうしたかったのかもしれない。
「っ…おかえり…!」
失ったものと、帰ってきたもの。その狭間にある僅かな幸福は苦くも優しかった。
欠けてしまったものを埋め合うように、再び集まったわたし達。これでまた笑い合えると信じてたんだよ。
──どうしてこうなってしまったんだろう。
微かに聞こえてきた不協和音が、またわたし達を引き裂こうとしていた。