ひとひらの雪
「奈々と琥太郎元気かなー?」
「…毎日のように電話で話してただろ。」
「やっぱり直接会うのとは違うよっ!」
色々大変だったが無事、四人共高校に受かることが出来た。
雪姫は特待生としてバスケットの強豪校へ、奈々は都市部の名門女子校へ、晴流と琥太郎は地元の公立高校へと通っている。
今日はおよそ5ヶ月ぶりの再会。本当は終業式なんてサボってすぐにでも会いたいが、そうはいかない。それぞれ用事がある為、こうして大人しく学校に向かっている。
「…あっ。」
見上げれば清々しいまでの青空。高校に入った記念に祖父母に買ってもらった携帯電話を掲げ、雪姫はカメラのシャッターボタンを押した。
──カシャッ
みんなに送ろう。そう思いメールを作成しながらふと呟く。
「そう言えば、あの日もこんな天気だったね。」
「…ああ。」
そう。それはまるで屋上で叫んだあの日のような空だった。
中学校の卒業式が終わった後、教師の目を盗んで改めて行った屋上。
その時、みんなで約束したことがある。
──ちゃんと乗り越えられたら、四人であの川に行こう。