ひとひらの雪


 優真とはあの事故以来会っていなかった。いったいどんな顔をすればいいのだろう。


「…そっか。優兄の大学この近くだったっけ。」


「うん。オレもまさか雪姫ちゃんに会えるなんて思わなかったな。」


 斗真とはあまり似ていない柔らかな表情。じっと見つめた後、思い至ったように微笑んだ。


「…そこの高校ってことは、バスケ続けてるんだね。」


「あ、うん!」


「そうか、良かった。」


 斗真のことがショックで辞めてしまったとでも思っていたのだろうか。その表情は心底安心しきっている。


 そんな優真を見て雪姫はハッとする。


──弟が居なくなって優兄も辛いのに、わたしまた自分のことばっかだった…。


「…大丈夫だよ優兄。むしろね、わたし今の方がバスケやる気なの。…斗真のおかげだよ!」


「雪姫ちゃん…」


 後ろ向きになるのも、相手に悲しい顔をさせるのも嫌だ。雪姫はいつものようにニッと笑う。


「それに、そんなんで辞めたらあいつ、化けて出ちゃうでしょ?」


「ぷっ、そうだね。」



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