ひとひらの雪


 優真はふと、昔のことを思い返した。


 斗真が家に友達を連れてくるのが珍しくて、どんな子達なのか聞いたことがある。そのとき斗真は雪姫のことをこう言っていた。


『雪姫?あいつはすっげー頑固でおせっかい。でも…』


 少し考えるように俯き、照れたように笑って。


『…でも、笑うと周りが明るくなる。太陽みたいなやつ、かな。』


 そんな表情も、そんなことを話してくれたのも初めてで。今まで自暴自棄になっていた斗真を救ってくれたのは彼女達なのだと、温かい気持ちになった記憶がある。



「…ありがとう。」


「へ?」


 お礼を言うと雪姫はキョトンとしていた。


「ううん。それより、友達待ってるのに話し込んでごめんね。」


「…あっ。」


 雪姫の後ろ、少し離れた位置で友達が意味深な笑みで見ていた。確実に何か誤解されている。


「じゃあまたねっ、優兄!」


 慌ただしく駆けていく姿を見やり、優真は大学へと向かう。


──あれ、あの子今帰りか。とすると…。


「雪姫ちゃん、今駅の方──」





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