ひとひらの雪


 この辺りの道にはあまり詳しくない為、とにかく線路沿いに行く。見慣れない景色を眺めながら走るのはなかなか新鮮だ。


 しばらく走って一駅越したところで時間があまりないことに気づいた。電車はまだ動いていない。


──そうだ、電話しておこう。


 アドレスから【晴流】を選択し、走りながら電話をかける。3コール目で繋がった。


「──あっ、もしもし?今どこに居る?」


『…ちょうど学校出たところだよ。琥太郎も一緒。…どうした?』


 電車が止まって動きそうにないから走っているのだと、簡単に伝えた。


「──で、今そっちの高校の近くに居るんだけど…」


 話を聞いていた晴流だったが突然、ハッとしたように言葉を遮った。


『雪姫、お前今一人か?』


「んー?そうだけど。」


 友達は皆電車でしか帰れない。何故当たり前の質問をするのか、雪姫は首を傾げた。


 だが晴流が言っているのはそういうことではなかった。


『お前っ、その辺りは…















──この前通り魔が出た所だぞ。』



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