ひとひらの雪
◆
だんだんと日が落ちてきた頃、部活を終え着替えを済ませた雪姫はいつものように校門で晴流を待っていた。
「遅いなぁ…」
絶対に一人で帰るなと念を押されているので待つが、それにしても遅い。
いつもなら部活が終わる10分前には着いているはずなのに、もうかれこれ30分以上経っているのだ。
電話でも掛けてみようかと思ったそのとき、前方から見慣れた人物が走ってくるのが見えた。
「──雪姫ちゃーん!」
「えっ、琥太郎!?」
そう。息を切らしやって来たのは、同じく部活帰りであろう琥太郎だった。背後で晴流待ちをしていた女子達が落ち込んでいるのが分かる。
「どうしたの?」
「あのねぇ、晴流くんから『今日は迎えに行けない。代わりに行ってやってくれ。』ってメールが来てて。その…遅くなってごめん。」
それでわざわざ来てくれたのか。疲れているだろうに、こんなに暑い中を。
雪姫はボストンバッグからタオルを取り出すと、自分よりも少し高い位置にある琥太郎の額に浮かぶ汗を拭った。
「へへっ、ありがとう。心強いよ。」
だんだんと日が落ちてきた頃、部活を終え着替えを済ませた雪姫はいつものように校門で晴流を待っていた。
「遅いなぁ…」
絶対に一人で帰るなと念を押されているので待つが、それにしても遅い。
いつもなら部活が終わる10分前には着いているはずなのに、もうかれこれ30分以上経っているのだ。
電話でも掛けてみようかと思ったそのとき、前方から見慣れた人物が走ってくるのが見えた。
「──雪姫ちゃーん!」
「えっ、琥太郎!?」
そう。息を切らしやって来たのは、同じく部活帰りであろう琥太郎だった。背後で晴流待ちをしていた女子達が落ち込んでいるのが分かる。
「どうしたの?」
「あのねぇ、晴流くんから『今日は迎えに行けない。代わりに行ってやってくれ。』ってメールが来てて。その…遅くなってごめん。」
それでわざわざ来てくれたのか。疲れているだろうに、こんなに暑い中を。
雪姫はボストンバッグからタオルを取り出すと、自分よりも少し高い位置にある琥太郎の額に浮かぶ汗を拭った。
「へへっ、ありがとう。心強いよ。」