ひとひらの雪
勝手に見るのは申し訳ない気もしたが、致し方ない。
まずはメール。最後の送受信先は琥太郎。これは聞いていた通り、雪姫の迎えを代わるという内容だった。
次に電話。こちらも送受信先は同じで、晴流のバイト先である本屋の番号だった。
いくつか遡って見てみたが、いずれも怪しいものではない。
──ケータイじゃないとすれば、後は…。
「雪姫、お待たせ。帰りましょう。」
手続きが終わり帰ってきた咲季の声で雪姫はハッと現実に戻った。
「あっ、うん!」
確かめたいこともある。ひとまず家に帰ろうと席を立った。その時。
「──すみません。私達警察の者ですが、先程こちらに運ばれた天城 晴流さんのご家族の方はまだいらっしゃいますかね。」
咲季と入れ違いに受付にやってきた二人組の男性が、そう話しているのが聞こえた。
「…え?」
振り返り思わず声を出すと目が合い、それで悟ったのか警察と名乗った二人組は一礼してこちらに歩み寄った。
「天城さん、ですね。」
「はい…」
「少々お時間頂けますか。」
咲季と雪姫は顔を見合わせ、緊張の面持ちで頷いた。