ひとひらの雪


「…久遠 蓮(クドオ レン)ってヤツ知ってるか?」


「久遠…?」


 聞き覚えのない名前に素直に首を横に振る。


「まぁ、お前にゃ分からんか。南鞠中の不良だよ。かなり悪さしてる。」


 南鞠中学校は隣町にあり、学区が違うからまず関わることはない。わざわざ手を出すなんて、斗真に因縁でもあるのだろうか。


「その…久遠って人は今どうしてますか?」


「んぁ、確か最近ネンショーから出てきたって聞いたな。」


「ネンショー?」


「少年院のことだよ。」


 少年院に入れられていたということは本当に危険人物なのだろう。しかし出てきたのが"最近"ならば事故のことは知らないのではないか。


 けれどもし、偶然斗真の死を知ったとして。友人である晴流と接触があったなら…。


──考えてみても分かんないか。


 とりあえず奈々、琥太郎、優真以外の対象が浮上した。それだけで良しとしよう。


「…分かりました。色々とありがとうございます。」


「いや、構わんさ。今度は仲良し4人組で遊びに来るといい。茶くらい出してやるよ。」



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