ひとひらの雪
◆
綺麗な緋色に染まりつつある空の下。どこからかチャイムの音が鳴り響き子ども達に下校を促している。
雪姫はその音色を聞きながら駅前広場で大きくため息を吐いていた。
「…後少しなんだけどなぁ…」
ずっと握りしめていたせいで少し皺が寄ってしまった紙を空に翳す。それは小学校時代の同級生に無理言ってコピーさせてもらった南鞠中学校の卒業写真だった。
そこに映る日に焼けたような色黒の肌と切れ長の瞳が印象的な少年・久遠蓮。斗真と争いが耐えなかったという彼は県内でも悪名高いチームのリーダーらしい。
先月半ばに少年院を出所した後も度々暴れていたが、晴流が刺された7月28日を境に行方が分からないという。
──強引な憶測だと思ってたのに、意外と当たりかもしれない。
これは何としても会って確かめたい。そう思い街中を走り探し回ったのだけれど。
久遠の地元である南鞠、
事件があった西沈、
雪姫達が住む爽北、
都市部の繁華街…
誰に聞いてもどこに行っても彼の姿は見つからない。本当にそんな人物がいるのかすら疑わしい程に。
綺麗な緋色に染まりつつある空の下。どこからかチャイムの音が鳴り響き子ども達に下校を促している。
雪姫はその音色を聞きながら駅前広場で大きくため息を吐いていた。
「…後少しなんだけどなぁ…」
ずっと握りしめていたせいで少し皺が寄ってしまった紙を空に翳す。それは小学校時代の同級生に無理言ってコピーさせてもらった南鞠中学校の卒業写真だった。
そこに映る日に焼けたような色黒の肌と切れ長の瞳が印象的な少年・久遠蓮。斗真と争いが耐えなかったという彼は県内でも悪名高いチームのリーダーらしい。
先月半ばに少年院を出所した後も度々暴れていたが、晴流が刺された7月28日を境に行方が分からないという。
──強引な憶測だと思ってたのに、意外と当たりかもしれない。
これは何としても会って確かめたい。そう思い街中を走り探し回ったのだけれど。
久遠の地元である南鞠、
事件があった西沈、
雪姫達が住む爽北、
都市部の繁華街…
誰に聞いてもどこに行っても彼の姿は見つからない。本当にそんな人物がいるのかすら疑わしい程に。