未定
未定
「俺と付き合って。」
幼なじみの" サク "こと、野上朔也(サクヤ)から突然の告白を受けたのは、高校三年の春。
新学期の初日。クラス掲示板の前だった。
「俺、紗衣のこと好き。もし今日、クラスが一緒だったら言おうって決めてた。」
サクは昔から優柔不断で、何か決めなきゃいけないときはいつも鉛筆転がしてみたり、靴を飛ばしてみたり。
「…サクらしいね。」
いきなりの展開に戸惑いながらも、告白のシチュエーションを考えるサクを創造したら自然と笑みがこぼれた。
「その顔が一番好き…!」
私の笑った顔を見て、照れ臭そうに笑ったサク。その笑顔に、胸が暑くなった。
「私も好きだよ。…ずっと前から。」
「え?」
あの頃の私は、サクに恋をしていた。
きっかけなんかは忘れてしまったけど、いつの頃からかサクのことを目で追っている自分がいた。
「…やべぇ、すげー嬉しい。」
その時の真っ赤に染まった彼の顔は、今でも忘れられない。
「これから、よろしく!」
「こちらこそ…!」
まるで中学生のように、ぎこちない握手を交わして、私たちの恋は始まった。