元、新撰組です





「その日記は、最後まで息子の奥さんに渡すか悩んでいた物だよ。このダンボールを取りに来なかったってことは、この事を言わなかったんだろうけど」




僕は、渡したほうがいいと思ったんだ、と沖田はダンボールから、視線をそらした。




『じゃあ、これを渡すために、工事を中止にさせたんですか??』




驚いたように、沖田の顔を見る。沖田はダンボールに目を向けた。




「昔テレビで見たんだ。多く怪我人が出て工事が休止したってね。猫の僕がこれを家族に届けるにはこれしか方法がなかった」




『でも、今人の姿になれてたじゃないですか』




先ほどの事を考え、音波は首をかしげた。




「それは、きっと君の霊力に当てられて人に戻れるまで力が回復したんだよ。今までそんな力なかった、君の近くにいれば人になりたいときになることが出来る」




『そういうことでしたか……。わかりました、これ届けて説明します』




音波はコクリと頷いた。





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