『好き』って言っていいですか?


もー!これからデートだって言うのに
気分 最悪。


ドンッ!
当るところのないあたしは
玄関のドアに怒りをぶつけ
足早に家を出た。


すると
角を回ったところで
「理央 ちょっとおいで」
と お婆ちゃんが あたしを呼び止めた。


お婆ちゃんまで?
追ってきてまで小言?


「何?!」


半分怒った口調で 返した。


「これ!お小遣い
お母さんには 内緒だよ」


と あたしの手のひらにお金を 置いたのだ。


「えっ?」


「あんなに 出掛けに
ガミガミ言うもんじゃないよね 可愛そうに
これで 美味しいものでも食べなさい」


ワザワザ 裏口から出てきて
あたしに お小遣いをくれたのだ。


お婆ちゃんは いつもあたしを
可愛がってくれる


「お婆ちゃんありがと」


「理央は理央でいいところ
いっぱいあるんだからねぇー
しっかり遊んだら しっかり勉強するんだよ」


お婆ちゃんの優しさに涙が出そうになる。


あたしは お婆ちゃんに見送られ
先を急いだ。



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