不道徳でも愛してる2〜もうひとつの愛のカタチ〜【短編:完結】
…コンコン。
『お邪魔するよ。』
控室にダブルの礼服を素敵に着こなした
40代の一人の紳士が入ってきた。
『…本日はおめでとうございます。
では、後でお呼びします。』
スタイリストさんは
その紳士に挨拶をすると
私にも一礼して控室を出て行った。
「……。」
『……。』
私とこの紳士に
一瞬だけ沈黙が流れた後
『……里依奈(リーナ)。
そのドレス姿…良く似合ってるよ。』
紳士は私を見るなり寂しげに微笑むと
『…でも正直言って、僕が今日こうして
君をこんなカタチで祝う事になるとは
送り出す事になるとは
夢にも思わなかったよ…。』
そう言いながら
『…今も複雑で悔しいけど
結婚おめでとう……。』
と、お祝いの言葉をくれた。
その言葉に
「……祝われる資格なんてないのに。
本当にごめんなさい……。」
私は謝るしかなかった。