失 楽 園
「ね、恭ちゃん……」
「ん?」
「私たち、どう、なるのかな……」
どうなる、とは
どういうことなのだろうか。
このまま逃げた後のこと?
それとも、捕まった時のこと?
そんなことは、どうでもよかった。
「……さあ。
僕は姉さんと一緒にいれたら……
それでいいし」
そう言って姉さんの頭を
なだめるように優しく撫でると、
姉さんはようやく笑顔になって頷いた。
「……うん、そうだね」
姉さんの笑顔を見るのは、
久しぶりだった。