失 楽 園




「姉さん?」


 ある日姉さんの様子がおかしくなった。

何を食べても、すぐに戻してしまうのだ。
酷い時は食事の匂いを嗅いだだけでも。





――姉さんは、妊娠していた。





 僕は、十九歳になっていた。



しあわせが、崩れていく音を聞いた。


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