失 楽 園




姉さんは床に倒れたまま、
身体を大きく揺らして呼吸をしている。


「はあ、はあ、はあ、はあっ」


姉さんの大きな瞳から大粒の涙が零れた。

苦しいんだろう。
苦しくて苦しくて、たまらないんだろう。


 姉さんを助けなきゃ。


そう思っても、
幼い僕の身体は動くことが出来なかった。


「はあ、はあ、はあ…っ」

「なによ、過呼吸なんて、
 精神的に弱いからよ。
 ちょっと、やめなさい!!」


床に転がる姉さんの頭を、
母さんは蹴り飛ばす。



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