失 楽 園
chapter15
……そのカウンセリングの先生が、
あなた、だよ。
青年はそう言って目を細めた。
私は青年から視線を逸らし、俯く。
ほら、早くそれに書き込んでよ。
精神に異常無し、
再逮捕と再捜査をお願いします……って。
青年がそれと指したものは、
私が持つ診断書のことだろう。
私は唇をかみ締めた。
「高城先生」
急に名を呼ばれ、
私はハッとして顔を上げる。
私を呼んだのは、看護師の女性だった。