失 楽 園




「よく寝てる」

「ふふっ。
 寝てたら、どっちがどっちか
 わからないんじゃない?」

「……だね」

「やだぁ、もう。それでもお父さん?」

「……お母さんはわかるの?」

「当たり前じゃない」


彼女は優しい瞳で僕の隣りに眠る
赤ん坊の頬をぷに、と指差した。



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