失 楽 園
「甘えんぼさん」
「……うん、甘えたい」
どろどろに、
溶けて溶けて、
溶けきってしまうまで。
「……ね、恭ちゃん」
彼女の白い首筋に舌を這わせながら、
僕は上目で彼女を見る。
彼女の目は僕をとらえることなく、
宙を彷徨っていた。
そんな彼女の姿にえもいえぬ痛みが
僕の心臓を貫いたが、
僕はぐっと目を瞑って
柔らかな胸に顔を埋めた。
きゅう、と優しい力で、
頭を抱き締められ、
くしゃりと髪を撫でられる。