失 楽 園




「……恭ちゃん。私のこと、えっと……」

「なに?」


小さなリップノイズをたてて、
僕の物だという証を鎖骨の近くに残すと、
彼女はくす、と悪戯に笑って言った。


「私のことも名前で呼んでくれたら、
 恭ちゃんのことも名前で呼んであげる」


思わず僕の顔にも、笑顔が広がる。


「そんなの、何度だって呼んであげるよ」





それから僕は何度も彼女の名を呼び、
とめどなく溢れる愛を囁き、
その瑞々しい唇にキスを落とした。


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