失 楽 園
「ママ。今日のごはん、なあに?」
「ぼく、ハンバーグがいい」
台所に立って夕食の
支度をしている最中なのに、
私の足元にチョロチョロと
まとわりつく天使の面を被った
幼い悪魔たち。
これがあの男から排出され、
私の卵子と結合し
出来たものかと思うと
ゾッとする。
私は成長するにつれて
身につけた、
完璧な作り笑いを浮かべて
子どもたちの頭を撫でた。
「今日はクリームシチュー。
危ないから、リビングで
遊んでいて頂戴。
もうすぐパパも帰って来るわよ」
「うん!」
私の言葉に、
元気よく返事を返すふたり。
私とあの男の子ども――……
優蛇と林檎は、六歳になっていた。