失 楽 園
自分でもそれが
異常だっていうことくらい、
もちろんわかっていた。
それでも、
僕は姉さん以外に
オンナを感じなかったし、
よしんば感じたとしても、
姉さんには到底及ばなかった。
姉さん以外のオンナはみんな、クズだ。
だがある時、
不思議なオンナが現れた。
「観月くん……」
小柄で色白、
自分に自信を持てて無いような
彼女のその態度は、
僕の愛しい姉さんを彷彿とさせた。
伏し目がちの大きな瞳、
その瞳を黒く縁取る
長い睫毛(まつげ)、
可愛らしく開かれた桃色の唇――…。
何処と無く顔や雰囲気も、
姉さんに似ていた。