失 楽 園
「なに?」
いつの間にか姉さんの癖が
伝染(うつ)った、
首を傾げて僕は言う。
するとそのオンナの顔は、
みるみるうちに赤く、
まるで果実が熟れて行くように
鮮やかに染まった。
「…えっと、私、C組の、
萌木美花子(もえぎ みかこ)です。
あの、それで、えっと……」
よくどもるその口調も、そっくりだ。
僕は品定めでもするように、
彼女を頭のてっぺんから爪先まで、
じっくりと眺めた。
「えっと、えっと……」
「うん」
「す、すきです!!」
今まで告白してきたオンナと同じ、
チープで陳腐なセリフ。