失 楽 園



姉さんは美しかった。
誰よりも、何よりも。

その憂いを含んだ美貌は、
誰もが近寄りがたく、
しかし誰もが
惹き寄せられるものがあった。

だから、
もちろん姉さんに近付こうだなんて
馬鹿な輩(やから)はいるわけで、
僕が今までその可能性を
危惧(きぐ)していなかったのが、
不思議なくらいだった。


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