失 楽 園
あれだけ僕にボコボコにされ、
あれだけ怯えていた荒瀬は、
またも僕と姉さんの間に、
分厚い壁となって立ちはだかるのだ。
許せなかった。
「そんなの嫌だ!
許さない、許さない許さない!!」
どうして僕より、
あんなくだらない男の方がいい!?
「姉さんは僕だけのものだ!
姉さんは……姉さんは……っ」
余りの僕の動揺ぶりに驚いたのか、
不安になったのか、
後日父さんは荒瀬のところに行き、
姉さんを諦めるように言ったらしい。
姉さんには婚約者がいると言って。