失 楽 園
┣十八歳の誕生日
そして十八歳の誕生日を迎えた日。
僕は僕と姉さんのパスポートを取得した。
来たるべき日に備えて、だ。
時間は確実に過ぎて行っている。
僕はその日を待ちわび、想いを馳せた。
「姉さん」
「なに?」
「僕、姉さんの為だったら、
なんでもするよ」
いつの間にか、
それが口癖になっていた。
大好きな大好きな、僕の、姉さん。
これがただの所有欲、独占欲なのか、
それとも純粋な愛情なのか、
その頃の僕にはわからなかった。
そして事は起こる。
姉さんが母さんのお気に入りの、
高価な食器を割ってしまったのだ。
きっかけは、些細なことだった。