失 楽 園



「お姉さん、
 すごく精神的にも肉体的にも
 参ってるみたいですよ。
 アームカットだと思われる
 傷もありますし……。
 お姉さんはもう
 成人していらっしゃるので、
 我々としてはあまり
 口出しは出来ませんが……
 もし、彼氏さんなどに
 暴力をふるわれているのなら、
 一度警察に相談してみては
 いかがでしょう……?」

「……はい。考えておきます」


僕はそう、機械的に答えただけだった。



彼氏?
そんなものに姉さんが
傷つけられたなら、
僕は今すぐそいつを殺してやる!!

姉さんは、
実の親に暴力をふるわれているんだ!!



ざわざわと身体を何かが這いずり回り、
僕は我慢出来ずにすぐ横の壁に
拳を叩き付けた。


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