失 楽 園
┗果実を食べた日
僕は姉さんが寝静まった後、
そっと姉さんの部屋に入った。
姉さんは何かを隠す時、
いつも部屋の何処かに隠していたから。
蛍光灯の豆電球だけが、
この暗闇では頼りだ。
僕はじっとりと
汗ばむ手を握り直し、
そっと部屋を歩いた。
机の引きだしの中を探ってみるが、
それらしきものは無い。
ドレッサーの中も、
タンスの中も無かった。
他に、ありそうな場所……。
何気なく姉さんの方に振り返った時、
うっかり僕は机の上にあった
姉さんのカバンを落としてしまった。
どさどさとカバンの中身が
床に散らばり、
僕は焦って姉さんを見る。