失 楽 園
姉さんは小さく唸り、
こちらに向かって寝返りを打った。
どくどくと心臓が
馬鹿みたいに暴れている。
僕はできる限り音をたてないように
胸元にぐっと手を押し当てた。
「う……ん、恭ちゃん……?」
全身の汗腺から、汗が吹き出た。
姉さんはもそもそと起き上がり、
目を擦りながら僕の方を見つめた。
「ど……したの…?」
寝起き特有の、
呂律の回らない口調に、
はだけた寝間着。
こんな時なのに、
僕は喉が渇くような肉欲を覚えた。
僕はぎしりと姉さんのベッドに腰掛け、
やんわりと姉さんを横にさせる。