失 楽 園
┗クリスマスイヴ
父さんと母さんは、
姉さんのあまりにも不自然な怪我を
怪しまれるのを恐れ、
姉さんを家から出さないようにした。
それでも姉さんは何も言わなかった。
「いってらっしゃい、恭ちゃん」
毎日そう言って
見送ってくれることを
しあわせに思いながらも、
姉さんの包帯を見る度に、
ふつふつと両親への憎悪が沸き起こった。
ああ、姉さん!
全てが終わる日は、もうすぐだよ……。
僕は着々と準備を進めていた。
姉弟という関係が偽物だとわかった今、
何も恐れることは無い。
身体中が、ぞくぞくと歓喜に震えた。