失 楽 園



睡眠薬は姉さんが処方して貰っていた、
強力な奴を少し拝借した。

それを咥え、コルクを開栓する。


するとワインの
濃厚で芳醇な香りが広がった。


その香りをたっぷりと味わい、
ビニール袋の袋を開け、
ワインの瓶に粉末を流し込む。

またコルクを閉め、
粉末がワインに溶けるように瓶を
ゆるゆると回した。



「素敵なクリスマスイヴだ」



そう言って瓶にキスをした。


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