失 楽 園
そう言って姉さんの手を引くが、
姉さんは立ち上がろうとしない。
「姉さん?」
またしゃがんで
姉さんの頬にかかる髪の毛を
かきあげてやると、
姉さんはその愛らしい唇を開いた。
「恭ちゃん……どうして、
こんなこと……」
「どうして?」
姉さんの質問に、僕は即答する。
「姉さんの為さ」
「え……?」
「言っただろう?
姉さんの為なら、
なんだってするって。
姉さんを傷つけない為なら、
なんだってする。
僕はこいつらを許せない。
いつもいつも、
姉さんを傷つけてきた。
泣かせてきた。
姉さんのその目だって、
こいつらのせいなんだ!!
……違う…?」