失 楽 園
「でも……でも…っ」
姉さんが何かを言おうするが、
僕はそれを遮って叫んだ。
「姉さんはこいつらを許せるのか!?」
僕の言葉に、姉さんは黙ってしまった。
僕は姉さんを引っ張って立ち上がらせ、
ワインセラーを出て行く。
姉さんは、泣いていた。
「姉さん? どうして泣くの?」
僕の問い掛けに答えることは無く、
姉さんは首を振った。
その拍子に、
姉さんが流した真珠のようなその涙が、
キラキラと弾けた。
食事を終わらせ、
唇についた肉汁を舐め取って
僕は立ち上がる。
姉さんはあれから一口も食べないで、
黙ってテーブルに着いているだけだった。
……大丈夫。
僕は間違ってなんかない。