失 楽 園
┣復讐をする今夜
僕は半ば姉さんを無理矢理、
ワインセラーに連れて行った。
真っ暗なワインセラーに、
ほの暗い明かりが灯る。
ぼうっと、
父さんと母さんの顔が浮かび上がった。
「ぐぅ、むぐう!」
呻きながら父さんが血走った目を
限界まで見開き、がたがたと
身体を揺さぶる。
母さんも髪の毛を振り乱し、怯えていた。
そんなふたりの様子に、
僕はにっこりと微笑んだ。
姉さんはもう泣きやんでいて、
黙って何も出来ずに呻くだけの
両親を見つめている。
「…父さん、母さん」
こつ、こつ、と靴音を響かせながら、
僕はふたりの間を縫って歩いた。