失 楽 園



「ああぁっ!!」


悲鳴染みた母さんの叫び声が、
ワインセラーに反響する。

それから布を取り出して、聞いた。


「痛い?」

「…い、たいに決まってるじゃない!!」


ぎらぎらした、
憎しみに満ちた目で母さんは言う。
僕は深い溜息をついてから、
母さんの首を掴んだ。


「痛い? 何言ってんだよ……。
 姉さんの方が、もっと痛い!!」


ガシャアン!! と大きな音が響いた。
僕が母さんを椅子ごと蹴り倒したのだ。


「ぐ……恭夜…あなた、
 こんなことして……!」


顔を打ったのだろうか、
母さんの鼻からは
大量の血液が流れていた。




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