失 楽 園



「……父さん。
 あなたのことは、
 憎んでも憎み切れないよ。
 ……母さんもだけど」

「うぐっ、ふぐ、うーっ!!」


父さんは必死に呻きながら首を振った。

ポケットから、
カッターナイフを取り出す。


「……姉さんの目…
 失明したんだよ……わかる?」

「ぐう! ぐ、うーっ! うーっ!」

「どっちの目だっけ……姉さん?」


地上へと続く階段に
腰を下ろして震える姉さんを見る。


「…ああ、左目、だったね……」



 カッターナイフを振り上げる。



「やめてぇええ!!」

「ぐ、ううぅーーーっ!!」


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