失 楽 園
優勝した空手の大会は、
予選敗退した。
常に一位だったテストの成績は、
下から数える方が早いまでに
落ち込んだ。
これで姉さんは
怒られないで済むと思った。
僕が怒られるようになると思った。
でも、両親の怒りの矛先は、
姉さんに突き刺さったままだった。
それも、今までよりずっと、深くに。
「お前が邪魔をしたんだろう!」
そう言って姉さんの顔を、
姉さんが転ぶくらいにぶった父さんを、
本気で殺したいと思った。
姉さんは反抗も反撃もせず、
黙ってなじられるだけだった。