失 楽 園
二日目。
私は欠伸を堪えながら青年の前に座った。
青年は至極落ち着いた様子だが、
目の下にはうっすらと
隈(くま)が出来ている。
熱いココアはどうかと尋ねてみる。
すると青年は微かに微笑み、頷いた。
私は青年が口を開くのを待った。
そしてココアが運ばれてきた頃、
ようやっと青年は口を開いた。
……姉さんに、逢いたい。
捨てられた子犬のような目をした青年に、
どうしようもない庇護欲と
母性をくすぐられたが、
私は必死でそれを振り払い、
昨日の続きを聞かせてくれとせがんだ。